キケンな冷徹関西男子は独占して溺愛して、どうしても手放したくないようで。

 こ、こーゆー時は恋愛小説じゃ大抵誰かしらが受け止めてくれるシーンだ……!

 絶対今思う事じゃないのに、突如として浮かんだのはそれだった。

 小説やアニメの見過ぎ、そう思われても仕方ない。

 そんな事、現実であり得るはずないのにっ……。

「……いた……、く、ない……?」

 あり得るはずない。そう信じて疑わなかった。

 それなのに……私の体は無機質な踊り場に落下する事なく、誰かの腕の中だった。

 多少の痛みは感じるものの、この痛みは踊り場に落ちた時よりも遥かにマシだろう。

 い、一体誰が……――んんっ!?

「どこも痛くあらへんか、夜優。」

「!?!?」

 反射的に瞑っていた瞼を、そろりと開けると同時に飛び込んできたもの。

 それは綺麗すぎて見惚れるほどの顔面を持つ、聖来君でありました。

 眉は心配そうに下がっていて、私を支えてくれている腕には力がこもっているよう。

 ま、まさかあの高さから落ちたのに受け止めてくれたの……!?

 どうして都合よくここにいたのかとか、どうして受け止めてくれたのとか、尋ねたい事はいくつかあるけども。