「――……ゆ。」

「……。」

「……い、やゆ。」

「…………。」

「おーい、夜優っ!」

 っ……!?

「はいっ……!?」

「どうしたの、今日ぼーっとしてない?」

「えっ、そ、そうかなぁ……あはは……。」

 聖来君とお出かけして数日経ったある日、写真部部室に那奈の疑問と私の乾いた笑みが広がった。

 今は今まで撮ってきた写真の整理をしていて、ファイルにタグ付けをしている。

 だけど……どうにも意識がふわふわしていて、なかなか身が入らない。

 現に那奈の声が聞こえなかったし、どうしたんだろう私……。

 ……なんて、理由は分かり切っているんだけども。

「何かあったの?」

「……べ、別に~?」

「はい嘘、声が上ずってるし目が泳いでる。隠す気ないじゃん。」

「うぐ……そ、そのつもりは……。」

 器用に嘘を吐けない私を、那奈はいつも論破してくる。

 事実なんだから言い返せないんだけど、ちょっぴり悔しい。

「休みの日、何してたの。夜優が上の空になるなんて珍しいし、普通に気になる。」

「……な、那奈も知ってるくせに。」