翌日の土曜日。

凛は弁当屋のアルバイトに来ていた。
常連客とのやり取りや、妙と勝治の会話は楽しく、良い気分転換になる。

「私の息抜きってこれかも…」

休憩時間に美味しいまかないを食べながら凛が呟く。

「何?凛ちゃん。何の話?」

妙がお茶を飲みながら聞いてきた。

「息抜きです。妙さんの息抜きって何ですか?」
「それはやっぱり、サロン通いね」

銭湯という名のね、と勝治が横から付け加える。

「なんとでも言って。あそこのサウナと手もみ処、最高なんだから」
「そっか!私もそういうところに行ってみよう」
「あら、凛ちゃんも行きたい?じゃあ今から一緒に行く?あんた、店番よろしくね」
「ちょっと!二人とも行くとか、冗談だろ?俺一人でどうするんだよ?」
「なんとかなるでしょー?暇な時間帯なんだし。1時間で戻るからさ」

そう言うと本当に妙は凛の手を引いて銭湯に連れて行った。