君との恋のエトセトラ

「うわ、想像以上にのどかでいいところだな」

航はハンドルを握りながら、フロントガラスの向こうを見渡す。

凛の故郷は長崎県の西の端、海と山に囲まれた自然豊かな田舎町だ。

年末年始も交通費を考えて帰省しなかった凛は、1年ぶりの故郷に目を細める。

帰って来たんだ、と意味もなくホッとして心が安らぐのを感じた。

やがて航の運転する車は、凛の道案内で無事に実家に到着した。

「ただいま。杏?いる?」

玄関を開けながら声をかけると、パタパタと足音が近づいて来た。

「お姉ちゃん!お帰り…って、ど、どちら様ー?!」
「こんにちは。河合と申します」
「ええ?!可愛いってよりは、イケメンだと思いますけど?」

は?何言ってるの?と凛は、航を見て仰け反っている杏の袖を引っ張る。

「それより杏、お母さんは?」
「あ、寝室にいるよ。もうだいぶ落ち着いてる」
「そう、良かった」

凛は早速2階にある母の寝室へと向かった。