どうしたらいいのかわからない。何で昨日確認しなかったんだろう。

こんな大金を簡単に受け取って…。あぁコイツ、やっぱり金目当てだったんだって思われても仕方ないよ。

こんなに入ってるのが分かっていたら、受け取っていなかった。


封筒の横に、私達が写っている雑誌の記事と写真を布団に寄りかかって読み返す。






黒川君…これ、わざとだったんだね。
私あの時、人生で初めてあんなにウキウキしたんだよ。
黒川君のお誕生日プレゼント、純粋に渡す為に頑張ったんだよ。


でも全部全部、仕組まれていた時間だったんだね。


私ばっかりはしゃいでいたね。



駄目だ…。
思い出してはまた泣きそうだ。

別に裏切られたわけじゃない。最初から彼女【役】を頼まれていたんだ。
黒川君はちっとも悪くない。

私が後先考えなかったんだ、私が…。




黒川君…。

私との過ごした時間は…全部全部演技だった?

私が傷つくなんて、思ってもみなかった?




思うわけ無いよね。

私が引き受けて私が傷つくのは違うよね。


馬鹿だね、私。











今頃気付いたよ。


昨日は大っきらいなんて思ってごめんね。


私は、芸能人の【瑠色】じゃなく、



隣の席に座っていた【黒川君】を好きになったんだよ。



遅いね、私。






「木村さん!とうとうバレたの!?」
「連絡してるのに全然既読ならないしさぁ。」
「大丈夫!?瑠色とこれから会うの大変じゃない?」


学校に着くと、どうやら朝早くからテレビやらネットやらで、黒川君と私の話題が何処もかしこも取り上げられたらしく、それを観た沢山の学校の人が押し寄せてくる。

今更ながら、テレビが無いと情報を掴めないから何を言われているのか、どんなことを言われているのか世間の反応を把握する事が出来ない。