「みんな! 大仕事よ! 倉庫からありったけの布を持ってきてちょうだい!」
ルルの声に、はい!とお針子達の声が揃う。レインはユリウスとともに別室に連れられる。
椅子に座って待っていると、そこに大量の生地が運び込まれてきた。
赤、青、紫、桃、黄……本当に色とりどりで、ここにない色はないのではないかと思うほどの種類の生地が部屋中を埋め尽くしていく。しばらくもしないうちにほとんど足の踏み場もなくなった部屋に、ルルが入ってきた。
「さ、まずは卒業パーティーのドレスですわね。レイン様は何の色がよろしいですか?」
そう言いながら、ルルはたくさんの生地を片っ端からレインの体に当て、布地とレインの顔を見比べている。
「この赤はだめね、綺麗だけれどレイン様の髪色にはもう少し深みのある赤じゃないと」
「この生地はどうでしょう、ルル様」
「花柄はかわいいけれど、レイン様じゃなくてもよくないかしら。ありきたりね」
「水色は……」
「うーん、髪色とは会うんだけれど、レイン様はお顔立ちがはっきりしていらっしゃるから、ドレスが負けてしまうわ」



