けれどレインが驚いたのは、そこに、ユリウスが予約もなしに入ったからではない。 「あらあらまあまあ! アンダーサン公爵閣下、それにアンダーサン公爵令嬢ではありませんの!」 「ルルばあや!?」 そこにいて、しかもレインたちを驚いた様子ながらもにこやかに出迎えてくれたのが、いつもレインのドレスを仕立ててくれているルルばあや……もとい、仕立て師のルルだったからだ。レインは、ルルの周囲でドレスを縫っているお針子たちが一斉に振り返ったのを見て、あっと口を押えた。