立て続けに愛するものを失った先代女王は心を病み、床に臥せて間もなく儚くなった。
 王位は平凡だった末の王弟が継いだ。その日から、あの雨の日、イリスレインを――レインを見つけるまで、ユリウスの心は死んだままだった。

 あの時自分が死ねばよかったと何度も思った。そうしなかったのは、イリスレインを探して、必ず幸せにせねばと思ったからだった。

 ユリウスには、それしかなかった。

 ――だから、レインが第一王子を望むなら、そうしてやる以外、ユリウスには考えのつかないことだったのだ。