「きゃうー!」
「わ……!」
イリスレインは、ユリウスを見ると笑ってその指を掴んだ。
その力は強いのに、びっくりするほど頼りない、小さな手に、ユリウスはくぎ付けになった。
ユリウスは、一目ぼれした体の弱い令嬢――ユリウスの母を娶りたいがために、若いうちに臣籍降下した王弟の子だった。愛情をこめて育てられたが、その出自ゆえ、守られてばかりで、同年代の子供も体を鍛えたベンジャミンくらいで、ユリウスは、こんなに愛くるしく、ふわふわの存在がいるのかと驚いた。
それは、ユリウスが人生で初めて抱いた庇護欲だった。
「僕、この子が幸せになれるよう、絶対に守ります!」
「ふふ、それは頼もしいなあ」
先代女王はきゃっきゃ、と笑うイリスレインと、そんなイリスレインをいとおしく見つめるユリウスに微笑んだ。ふと顔をあげると、雨が止んでいる。
空には虹が浮かんでいた。
「わ……!」
イリスレインは、ユリウスを見ると笑ってその指を掴んだ。
その力は強いのに、びっくりするほど頼りない、小さな手に、ユリウスはくぎ付けになった。
ユリウスは、一目ぼれした体の弱い令嬢――ユリウスの母を娶りたいがために、若いうちに臣籍降下した王弟の子だった。愛情をこめて育てられたが、その出自ゆえ、守られてばかりで、同年代の子供も体を鍛えたベンジャミンくらいで、ユリウスは、こんなに愛くるしく、ふわふわの存在がいるのかと驚いた。
それは、ユリウスが人生で初めて抱いた庇護欲だった。
「僕、この子が幸せになれるよう、絶対に守ります!」
「ふふ、それは頼もしいなあ」
先代女王はきゃっきゃ、と笑うイリスレインと、そんなイリスレインをいとおしく見つめるユリウスに微笑んだ。ふと顔をあげると、雨が止んでいる。
空には虹が浮かんでいた。



