「婚約を、お受けします」 レインは静かに言った。はっきりと口にした言葉は、ユリウスに届いただろうか。 この想いを、ごまかせているだろうか。 ユリウスは息を呑んだ。どうしてそんな顔をするのだろう。ユリウスは眉を下げて、苦し気な顔をしていた。 「……そうか。わかった。王家には、了承の返事をしておこう」 しとしとと雨が降ってくる。暗くなって、ユリウスの顔が見えなくなった。 この雨は、泣かないように耐えるレインのかわりに泣いているのかもしれなかった。