ユリウスは今にも爆発しそうだった。礼を失した態度をとられているのはさすがにわかるが、相手は第一王子だ。ここでユリウスが手や内を出しては、のちのちユリウスが困ることになる。
レインはユリウスを振り返って頭を振る。
さらさらの薄青い髪が揺れて、さり、と音がした。
かばわれた形になったオリバーが満面の笑みでこちらを見ている。
レインはそれに若干の不快感を覚えながら、静かに頭を下げた。
「レイン、公爵は保護者としてのつきそいだろう。なら僕と一緒に入学式の会場へ行こう」
冗談ではなかった。今日はユリウスが膨大な仕事を片付けてやっと作ってくれた休みなのだ。そんな大切な入学式を、つぶされたくはない。
「光栄です、殿下。しかし……」
「だろう! じゃあいっしょに行こう」
「きゃ……」



