「どうしたんだい?レイン」
「こ、公爵様。私、は……」
「はは、急に姫君と言っては緊張してしまうかな。でも、レイン、君は我々がずっと探していた大切なひとなんだ。詳しいことはまた別の機会に教えてあげようね。まずは体を清潔にして、温かくしよう。ほら、部屋に案内してもらうから」
アンダーサン公爵はにこにこと笑ってレインのごわごわの髪を撫でた。
一瞬いたましいような目になって、けれどその色は優しいまま。
レインは小さくは、と息を吐いた。
「父上、レインは小さくとも淑女ですよ。あまりべたべた触らないでください」
「ええ……お前は抱いているのに……」
「僕はいいのです」
ユリウスがつんと顎をあげる。
アンダーサン公爵は弱ったような顔をしてユリウスを見て、そんな二人の仕草が不思議で、レインは目を瞬いた。



