元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

 声の主である――おそらくは――少年は領主の使用人ではなかった。使用人にしては、レインに向ける声も態度も優しすぎた。
 そう思ってレインが固辞すると、少年は息を呑んだ。

「タンべット男爵は君を奴隷として扱っているのか!?」
「……ぇ、あ」

 レインはこくん、と頷いた。
 レインの肯定に、少年は驚き、そして怒っているように見えた。

「奴隷はもうずいぶん前に禁止されたはずだ。タンベット男爵はどうして君を……」

 少年が声を荒げる。けれど、そこにパトリシアお嬢様のような恐ろしさはなかった。
 レインのために怒ってくれていたからだろうか。