ごくりと喉を鳴らし、雨水を両手にためてすすると、少しだけ喉の熱さが和らぐ気がした。
夢中になって雨水を飲んでいると、小さくぱしゃ、という足音が聞こえた。ご主人様かお嬢様か、それとも別の使用人か……。その誰だったとしても、干し草小屋から出ていることがばれたら、公爵親子にたくらみを知らせるどころではない。
そう思ってレインは物陰に隠れようと身を小さくかがませるが、レインの不審な様子に気付いたのか、足音の主はぴたりとその動きを止め、レインに向けてだろうか、戸惑ったように言葉を紡いだ。
「君、どうして……そんなところにいるんだい?濡れてしまうよ、こちらへおいで」
優しい声だった。レインの姿がよく見えていないのだろう。レインに向かって傘をさし出して、館の光を背ににっこりとほほ笑んだ。ように見えた。
暗くて、レインにも声の主の顔はよく見えない。けれど、傘をさし出されたのは初めてで、レインは驚いて体をこわばらせた。
「……?どうして来ないの?」
「わ、私は、奴隷なので。奴隷なので、お客様の傘になんて入れません」



