元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される


 物心がついたときにはすでにこうだった。
 愛されているお嬢様を見れば、レインの受けている仕打ちが普通ではないことくらい分かる。
 汚い奴隷だから?それとも、ご主人様たちが揃ってきみが悪いという、この血のように真っ赤な色をした目がいけないのだろうか。

 それなら――それなら、こんな目、持って生まれたくなかった。

 一度死んで、生まれなおして、普通の目が欲しい。
 お嬢様がまだ何かを言っている。けれどうまく聞き取れない。

 すすり泣くレインが、徐々に反応を失っていくのが面白くないのか、時折傘でレインをつつきながら、甲高い罵声を浴びせてくる。

 ぜえぜえと息をする、熱のあるレインの手当てをするなど、考えてもいないのだろう。今までもずっとそうだった。
 レインは悲しくて悲しくて、今すぐ消えてしまいたいとすら思った。けれどレインは頑丈で、どんなに弱ってもいつも生還してしまう。