それに国王が沈痛な表情を浮かべる。やはり血のつながった親子であるゆえに、切り捨てるには情が邪魔をするのかもしれなかった。
「コックス子爵夫人はおとなしい。娘のほうもだ。子爵は何も知らなかったらしく、幼い息子にも罪はないから、連帯責任とは言え、その二人の罰はあまり重くない。……だが、まあ、先は明るくないだろうが」
「社交界では敬遠されるでしょうね。息子の教育次第、というところでしょうか」
「そうだな……。夫人と娘は、イリスレインのお披露目後に北の修道院へ送るのだったか」
ユリウスの言葉に、国王が思いだすように言った。
ユリウスが頷くと、国王は目を伏せた。犯罪者にまで同情する彼は、やはり王には向いていない。それを自覚しているのだろう。国王は書類にまたひとつサインをして、それ以上何も言わなかった。
戒律に厳しく、冬も寒い北の修道院は過酷だ。レインを傷つけ、貶めたものには充分な罰になるだろう。ただ、母親である子爵夫人にはまだ余罪がある。イリスレイン誘拐の手引きをした罪を加算した後は、その修道院からも移動し、より重い罰を受けることになるはずだ。
「これでひと段落ですかね」
「そうだな」
前アンダーサン公爵と国王が頷きあって書類をまとめる。
ユリウスもうなずいて、ペンを置いた。
――はたして、本当にそうだろうか。



