「譲位の話に何か問題でも?」
「いいや、その話は驚くほどスムーズだ」
前アンダーサン公爵が執務机に肘をつき、ユリウスを見やる。
「それよりも、私も久々にレインに会いたくてね」
前アンダーサン公爵に続けるように、別の執務机で書類に署名をしていた国王がいいなあ、それ、とつぶやいた。
「私も会いたいなあ。卒業パーティーではほとんど話せなかったし……。私には王子二人で姫はいなかったから、イリスレインが輝いて見えたよ。姫というものはあんなに可憐なのだねえ」
「姫だから、ではなく、レインだから、ですよ」
世界中の姫君がレインほどの逸材であったなら、どこも戦なんかしないだろう。
後で会わせますから、さっさと書類を片付けてください、と目の前の現国王と王位継承権第一位の前公爵を睥睨し、ユリウスは王位継承の際に必要な手続きを進めていく。
「……ところで、くだんの三人は」
書類から目を離さず、ユリウスはひとつ、確認した。
前アンダーサン公爵が手を動かしながら言う。
「オリバーは今も荒れている。物の破壊を繰り返し、暴れてしかたがないので北の塔に幽閉しているが、このままだと辺境に飛ばすことになるかもしれない」



