元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される


 もう一度、初めましてをすればよいのです。チコはそう言ってレインをドレッサーの前へ先導した。
 鏡を見ると、赤い目をした少女が、まっすぐにこちらを見返している。
 そういえば、顔を隠さなくなったのはいつからだろう。

 この目をひとに見せることが、もう、怖くなくなっていることに気付いて、レインははっとした。
 レインの髪をくしけずり、どんな髪飾りがいいでしょうか、と女官たちを交えて話すチコは、それに、と胸を張った。

「忘れることは悪いことだという輩は、このチコがお説教してさしあげましょうね」

 そう言ってウインクをするチコに、レインもつられて笑う。

「チコ、ありがとう。……では、ふさわしい髪にしてくれる? 髪飾りも、一緒に選んでくれると嬉しいわ」
「せっかくですし、ドレスも新しいものに変えましょう。我々、美しい姫様を飾れる日を、今か今かとお待ちしておりましたのよ」

 先ほどベル、と名乗った女官長が両手にたくさんのドレスを抱えてやってくる。よくよく見れば、後ろでダンゼントが笑っていて。

「じゃあ、お願いするわ」
「お任せください!」

 女官たちが声をそろえる。それがおかしくて、レインはまた、声をたてて笑ってしまったのだった。

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