元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

「姫様、覚えておいでですか、姫様の乳母だったチコです」
「私は先代女王陛下の女官をしておりました。今は女官長をしております、ベルです」
「そして私が近衛騎士のダンゼントです」

 その声に、聞き覚えがあり、そちらに視線を向けたレインはあっと声をあげた。身なりこそ騎士の隊服を着ているが、その顔の下半分ほどを埋める赤いひげには見覚えがある。

「庭師のダンじいや……?」

「ふふ、ダンじいやは仮の姿、今は姫様をお守りする近衛騎士です。おかえりなさいませ、おひいさま」
「ダンじいや……!」