元奴隷の悪役令嬢は完璧お兄様に溺愛される

 言って、ユリウスは冷めてしまった紅茶を一口飲んだ。

「なんでもしていいんだ。レイン、君は自由だ。女王になるのなら、私が全力で手助けする。女王になりたくなければ、君は未来の公爵夫人としてここにいればいい」
「ユリウス様……」

 レインは、ぽつりとこぼすようにユリウスの名前を呼んだ。
 何が何だかわからなくて、うまく髪けないほどに話が速く進んでいく。
 ……だけど。

「……私、お城に行ってみようと思います」
「……わかった」
「でも、それは女王になると決意したからではありません。私は、母と父のことを知りたいんです。だから、それを知るために、王城へ行こうと思います」

 レインのしっかりとした言葉に、ユリウスはうなずいた。

「ああ、レイン。……君の、心のままに」