「じゃあなんだ。のっぴきならない書簡でも届いたのか?」
「残念ながらそう。だから許してくれよ」
そういうベンジャミンの手元には、一通の手紙。その封筒には、それが王家からのものであるという印璽が押されていた。
「……」
今のところ、王家からの便りにはいい思い出がない。不安になって眉尻を下げるレインの頭を、ユリウスが優しくなでてくれる。
「見せてくれ」
「はいよ」
ベンジャミンから封筒を受けとったユリウスが一緒に手渡されたペーパーナイフで封を切る。
そして、中身に上から下まで目を走らせ、その目に眼鏡越しでもわかるくらい冷たい色を宿して目を細めた。



