小さく小さく息をするレインに、ユリウスがこらえられない、というように囁く。

「本当に――本当に、君は私を好きなのか」
「はい」
「私はレインを、妹としてではなく『私の君』として愛してもいいのか」
「はい……」
レインは泣きながら言った。
「愛してください。『私のあなた』」

それが――言葉にした、最後だった。

群青の空に星が瞬いている。だというのに、一瞬のうちにその光は見えなくなって。
口付けられている、と理解したのは、唇にあたたかいものが触れたからだ。
レインは胸の内を幸福で満たしながら、静かに目を閉じた。