レインはそう言って、抱かれたまま、ユリウスの胸に顔を埋めた。
ユリウスの手が、おそるおそる、レインの髪を撫でる。
優しい手つきだった。レインの好きな、ユリウスがいつもそうするときの手つきだった。
「レインは、いいのか……?」
「はい」
「……そうか……」
ユリウスは、レインの言葉を噛み締めるように言った。
しばらくそうしていたユリウスは、ややあって、静かに尋ねた。
「聞いてもいいかい、レイン」
「何を、ですか?」
「レインは、婚約者が私でいいのか」
第一王子との婚約を、向こうに非があるとはいえ破棄した。そうした後、瑕疵がついたレインを幸せにする相手との婚姻はきっともう望めない。まだ幼い第二王子と婚約させるわけにもいかない。だから自分が、とユリウスは言った。
「レインが私を愛していると……それは、家族愛だとわかっているが……。君がそう言ってくれるなら、このまま婚約者として……いや、レインが嫌なら」



