君のとなりは妹の指定席

 一時間くらいして、やっと寧々が帰ってきた。


 ぱたん、ととなりの部屋の扉が閉まる小さな音がして。

 ただそれだけ。


 二人は、どんな話をしたんだろう。

 ひょっとしたら、離ればなれになる前にって、コータは寧々に「好き」って告白でもしたかもしれない。


 となりの部屋の静けさとは裏腹に、あたしの心の中は嵐みたいに荒れ狂っている。

 今にも表に出てきてしまいそうな真っ黒な感情を必死に押し込めようと、いつかの誕生日にコータがくれた黄色いミモザ柄のクッションをぎゅっと胸に抱き、ベッドの上で小さく丸まった。


 初恋なんて、実らないものって言うし。

 仕方ないよ。

 寧々と同じ人を好きになってしまったと気付いた時点で、心に決めたはずでしょ?

 あたしは、一生友人として、二人のそばにいようって。


 何度も何度も自分に向かってそう言い聞かせた。