君のとなりは妹の指定席

 いつだってそう。コータの視線の先には、寧々がいる。

 それに、寧々の指定席は、いつだってコータとあたしの間。

 だって、寧々のことは、あたしたちが守ってあげなくちゃいけないんだから。


 ……わかってるよ、そんなこと。


 だからあたしは、このズキズキする胸の痛みになんか気付かないフリを通すんだ。


「大学野球の次は、ひょっとしてプロ入り? なら、今のうちにサインもらっておかなくっちゃだね」

「……ずっと三人一緒だって思ってたのに」

 寧々のか細い涙声が、しんと静まり返った住宅街に響く。

 それを途中でかき消すかのように、思わず声を荒らげる。

「寧々! あんた、ワガママ言いすぎだよ」

 そんなあたしの声に、寧々がビクンッと肩を震わせる。

「奈々、先帰ってて。寧々は、俺がちゃんと家まで送り届けるから」

 コータが、あたしの方なんか一度も見ずにそう言った。


 コータのことを思って言ったつもりだったのに。

 そんなあたしの思いなんか、まるで邪魔者扱い。


「……わかった」

 唇をかみしめてくるりと踵を返すと、家に向かって重たい足を引きずるようにして歩いていった。