君のとなりは妹の指定席

***


 それから三日後の、3月30日の午後2時過ぎ。

 コンコンコン。

 遠慮がちにあたしの部屋のドアをノックする音がした。


「奈々……あのさ。誕生日、おめでとう」

 コータの声に、布団の中で丸まっていたあたしは、思わずミモザ柄のクッションをぎゅっと抱きしめた。

「奈々がこの前言ってたこと……ヘタレな俺の頬を引っぱたいて、目を覚まさしてくれたような気がした。ありがとな」

 じわっと涙が滲む。


 ——そっか。よかった。コータがちゃんとその気になってくれたのなら。

 ——寧々のこと、今度泣かしたら、本当に一生許さないんだからね。


 言葉にできないまま、次から次へと涙がこぼれ落ち、シーツにシミを作っていく。


 ……今度こそ、失恋確定だ。


 コータ。……ずっとずっと、大好きだったよ。


「奈々の誕生日プレゼント。ここに置いとくから。あとで見てくれたらうれしい」

 かさっと小さく紙袋の音がする。

「それから。明日の16時06分の電車で、俺、東京に行くから」

 コータが静かにそう言うのを聞いて、胸がぎゅーっと苦しくなる。


 そっか。本当に行っちゃうんだね。


 バイバイ……コータ。