君のとなりは妹の指定席

「わわわわっ、ムリムリムリムリ~!!」


 小学生の頃は、平気でできていたはずのローラースケートなのに。

 なぜか床がスローモーションのように顔面に近付いてくる。

 あ、これ、絶対痛いヤツだ。

 しかも、ヘタしたら鼻血出る。

 ヤダヤダ。コータに鼻血見られて「だっせー」なんて言われたら恥ずかしぬ。

 ぎゅっと目を閉じ、衝撃に備えていると、「っぶね」と耳元で小さな声がした。


 ……あ、あれっ? 痛く、ない?


 ぎゅっと力強く腰に回された腕、細身に見えるのに、意外としっかりとついた筋肉……。


 ……なんて悠長に考えてる場合じゃない!


「ご、ごめん、コータ……!」

 慌ててあたしの下敷きになっているコータの上からどこうとしたんだけど、腰に回された腕にさらにぎゅっと力がこもる。

「え、ちょ、コータ、なに……」

 全身が心臓になっちゃったんじゃないかっていうくらい、ドクドクドクドクとうるさく鼓動が響く。


 こんなの、コータに聞こえちゃうってば……!


 ぱしぱしとコータの胸を叩いて無言の主張をすると、やっとコータがぱっと手を離してくれた。


「わ、悪ぃ」

 ふいと顔をそむけ、がしがしと頭をかくコータ。

「あ、あたしこそごめん…………ひゃぁっ!!」

 慌てすぎて、自分がまだローラースケートを履いていることを忘れてた!

「ぐえっ」

 つるんっと足を滑らし、見事にコータの上に逆戻り。

「か、重ね重ねごめん……」