君のとなりは妹の指定席

 あたしのうしろから、ペンダントを覗き込むコータ。

「うーん……ちょっと……こういうのって、なんつーか、彼女とか? そういうヤツにあげるもの、みたいなイメージなんだけど……」

 ぼそぼそと歯切れの悪い感じでつぶやくように言う。


 ……ふうん、そっか。

 コータと寧々って、まだ付き合ってないんだ。

 だったら、これを渡して告ればいいのに。


 そんな言葉が喉元まで出かかったけど……つかえたみたいに出てこなかった。


「……じゃあ、なにがいいの? 無難にマグカップとか? それとも……あ、ねえ、これは?」


 白い小花とオーガンジーのリボンをあしらった、可愛らしいヘアクリップ。

 あたしにミモザ柄のクッションをくれたとき、寧々にはこのヘアクリップの小花によく似た花柄のクッションをプレゼントしていたっけ。

 たしか……そう、コデマリ。

 コータの中では、きっと寧々はこういう可憐で可愛らしいイメージなんだろうな。


 顎に手を当て、コータがそのヘアクリップをじーっと見つめている。

「……うん。じゃあ、それにしよう。奈々のオススメなら、間違いなしだな」

「ちょっと。失敗しても、あたしのせいにしないでよ?」

「大丈夫だよ。奈々のことは、全部信用してるから」

 ヒラヒラと手を振りながら、ヘアクリップ片手にレジへと向かうコータ。


 もうっ。そんなこと言って、どうせ外したときは、あたしのせいにするつもりなんでしょ?