第一王女の部屋なのかどうかまでは定かでないが、若い女性が好みそうだと思われる部屋を見つけた。十分な広さがあり、家具は白で統一されている。
ラーシュは目についた木の枝に止まることにした。
(若い女性の部屋を観察するのは気が引けますが、これは仕事ですから……)
後ろめたさを感じる自分にそう言い聞かせた。
部屋の奥に、プラチナブロンドの髪とヘーゼルの瞳の華奢な女性がいるのが見えた。
まだ若い。10代後半だろうか。
顔立ちこそ可愛いものの、眉を吊り上げてキーキー声を張り上げている。よくは聞こえないが侍女に何やら文句を言っているようだ。
ラーシュは、ないはずの眉を寄せた。
(この少女がそうなんでしょうか? 感情的に怒るタイプはどうも苦手なんですよね。年齢的には魔王様の伴侶として若すぎるということもないですが、魔王様……やっぱりよしておいたほうがいいと思いますよ……)