独占してよ、俺のこと



会えるんだ、と。
思ってしまった時点で手遅れ。


ひまりの家に帰るから、って。


ふざけてんじゃないの。


心ではそう思うのに、わたしの足はおもむろに洗面所に向かって。


前髪をくしで解いたりリップを塗ったりしてしまう。


想介なんか嫌い。想介なんか嫌い。


と心の中に言い聞かせながら準備をする。


「想介、なんか」



「俺が、なに?」


振り向いて声も出ないほどびっくりした。


でもびっくりしたのことがバレるのはなんとなく癪なので飛び上がった肩をゆっくり下ろす。


「……なにも、ない」


洗面所と玄関は隣合っているから丸聞こえだったんだろう。