食後のデザートとコーヒーをソファに並んで味わってから、クリスティーナは隣に座る王太子に声をかけた。

「あの、殿下。わたくしそろそろ失礼してもよろしいでしょうか?」
「ああ、そうだね。今日は疲れただろうから、ゆっくり休んで」
「はい、ありがとうございます」

頭を下げてから立ち上がるクリスティーナに、王太子はサラリと付け加える。

「俺もあとで行くから」
「はい」

頷いてから、ん?とクリスティーナは瞬きを繰り返して考えを巡らせる。

(あとで行くとは?一体どこに?)

首をひねりつつ、ロザリーに促されて部屋に戻る。

「アンジェ様。お湯の用意が出来ておりますわ。どうぞお身体を温めてくださいませ」
「ありがとう、ロザリー」

考えるのをやめて、クリスティーナはゆったりと湯に浸かる。

身も心もほぐれるような心地よさにホッとし、ロザリーが用意してくれた寝衣を着ると、クリスティーナは急に睡魔に襲われた。

「アンジェ様、今夜はもうお休みになりますか?」
「ええ、そうするわ」

重いまぶたであくびを堪えながらロザリーについて寝室まで来ると、クリスティーナはベッドに横たわった途端すーっと眠りに落ちていった。