身代わり同士、昼夜の政略結婚

『どうか、ベールを外してくださいませんか。それでは私の顔が見えないでしょう』


『私があなたを見たいのです』


かつてあなたがそう言った。今はわたくしが望んでいる。


「アステル。あなたを、一番に見せてくださるでしょう?」


初めてはあなたがいいわ。


もちろん、と呻いたアステルが、後頭部からするりと滑らせ、大きな両手でこちらの頬を包んだ。ようやくきちんと目が合う。


「あなたは、三日月の目をお持ちでしたのね」


確かに、鳥のような目だった。


黒目がちで、白目が狭い。金に輝く外円の中、大きな黒の内円が接している。


瞳に金の輪が浮かんでいるような、珍しい目。夜空の三日月に似た、幻想的な金。


「……梟の目です」

「三日月みたいで綺麗ですわ」

「この顔を、恐れる者もおります。あなたは気持ち悪くありませんか?」

「まさか。綺麗だと申し上げましたでしょう。あなたの目が気持ち悪いものですか」


じいと見つめているので、無理をさせていないかと、不安でいっぱいらしい。


「それにわたくし、一般的な目をよく知りませんもの。絵に描いたものは幾度か見たことがありますけれど」


他の一般的な目を見た後でも、きっと綺麗だと思いますわ。


「オルトロス王国の王族の方特有ですの?」

「王族のみに受け継がれますが、数は多くありません」


先祖返りと言うのですって。この国、月に焦がれた民族は、鳥の神を祖先に持つ。