身代わり同士、昼夜の政略結婚

「いいえ」

「頑張ってくれて、私を信じてくれて、ありがとう」

「いいえ」

「嬉しい。……うれしいです」

「わたくしも、嬉しいです」


オルトロス王国で、あなたの前で、すべてを覆い隠して、ぐるぐる巻きにしたいとは思わない。


こぼれた髪を、節の高い指がすくう。


「もう誰も、わたくしをみの虫とは呼べませんわ」


呼ばせませんよ、と答えるアステルは、みの虫にしない代わりに、わたくしをひっつき虫にしている。


涼しい気候に似合う低い体温。顔が見たいと思った。


「ミエーレ、眩しくはありませんか? 痛いところや、痒いところは? お寒くはありませんか」

「ええ、何も。ご配慮ありがとう存じます」


そう。日差しが眩しい話を覚えていてくれたのね。


度が過ぎると痛みや痒みを伴うこと。アマリリオ王国と比べると、オルトロス王国は寒冷な気候に感じることも。


……わたくしが話した内容を覚えていて、心配してくれることを、愛と呼ばずして何と呼べばいいのかしら。


矢継ぎ早の質問に笑い、とんとん、と広い背中を叩く。


「ねえ、アステル。わたくし、あなたを見たいのです」