身代わり同士、昼夜の政略結婚

意気込んだものの、指は震えている。


二枚を取ろうとして取れず、一枚を取ろうとして取れず、手を上げ下げし、もたつく中で、布越しに目が合った。


ああ、とため息ともつかない吐息がどちらともなく漏れる。わたくしはこの人に、素顔を見せるのだわ。


膝まで落ちた指先をなんとか持ち上げたけれど、震える指でうまく布を払えない。

「お手伝いしても?」と控えめに聞かれて、「お願いします……」と恥ずかしさに耐えながら答えた。


添えてもらった手が、まだ震える。それでもなんとか払って、今度は布越しでなくアステルと目が合って。


三日月みたい、と思った瞬間、重ねた手ごと引き寄せられた。唇が重なる。


「アステル、」


顔を上げようとしたのに、ぐいと後頭部を押されて引き寄せられ、顔が見えなくなる。


「ミエーレ。約束を守ってくださって、ありがとうございます」


その声は、震えている。