身代わり同士、昼夜の政略結婚

好みに合致するかしらと期待しての質問は、「目と口と鼻がある、人の顔ですよ」とごく当然の事実を伝えられて終わった。


「わたくしが人であることは、わたくし自身が一番よく分かっておりますわ」


むすりとむくれると、ごめんごめん、と笑われた。


「……分かっていなかったのは、私なのです」

「え?」

「体調を崩すまで無理をさせたでしょう。あなたを、ミエーレ王女という存在として見ていた。女性として、婚約者としての気遣いが足りなかった」

「そんなことは」

「そんなことは、ありますとも。身ひとつで来てくれたあなたに、ひどい仕打ちだったと思います」


わたくしが持参した花を見ながら、アステルは指折り数えた。


あなたの故郷のものを、もっと持って来られるように取り計らえばよかった。

故郷を離れた慰めに、あなたがくれたみたいに、枯れない花を飾ればよかった。

食事を調べて、両国から半分ずつメニューを献立に取り入れさせればよかった。

あなたに、お困りごとはありませんかと、尋ねればよかった。


「至らない婚約者で、申し訳ありません」

「いいえ」

「けれど私も、もう一日も待てそうにありません」

「……それは」


アステルが照れたように微笑む。


「ミエーレ。ベールを外していただいても、よろしいですか」

「ええ、もちろん……!」