【SS】夜に堕ちる

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 カタカタと、キーボードをたたく音がジャズミュージックに混じってひびく。

 私は顔を反転させて、真央の肩に頭をあずけた。




「真央」




 ささやくように愛しいひとの名前を呼ぶ。

 キーボードをたたく音が止まって、細長い指が私の右ほおをくすぐる。

 頭をすこし持ち上げれば、私を見つめる垂れ目が甘くとろけて、まぶたの下にかくれた。


 唇がかさなる。洗い立ての真央の髪に指を通す。




「もう少し待ってて。すぐ終わらせるから」


「うん」




 私はまた、真央の肩に頭をあずけて、目をつむった。

 キーボードをたたく音が、どこかムーディーなジャズミュージックに混じってひびく。




fin.