【SS】夜に堕ちる



「高校生の女の子が野宿とか、いやでしょ。家来る?」




 顔を上げて、まじまじと真央の顔を見た。どう見てもやさしそうで、親切心から言ってる、世話焼きなひとなんだろうなと思って。




「…うん」




 あのころの私は、大人というものをわかっていなかった。

 だから素直についていった。


 結果から言うと。真央は、わるい大人だった。

 素肌にふれるシーツ。まだまだ子どもで、純真だった私は、恋心を抱いてしまって。

 本気で、大人と付き合えると夢を見ていた。真央は子どもを相手にはしなかったけど、私を家に置き続けた。


 喜怒哀楽。どれも真央にぶつけて、すこし大人になった私に、真央は笑いかけた。ふり向いてくれた。