俺様御曹司は逃がさない

九条が真剣な面持ちであたしの目を捉えて離さない。


「お前のことがどうしようもなく好きで、どうしようもないくらい愛おしい。好きが加速して止まんねえんだわ。責任取れよ、馬鹿が。後にも先にも、俺にこんなことを言わせられる女はお前くらいしか居ねえ」

「あたしも九条のことが……好き。どうしようもなく好き」

「七瀬……お前を愛してる。もうどう足掻こうが逃がしてやんないよ?」

「あたしも愛してる。どうせ“俺様御曹司は逃がさない”……でしょ?」

「ご名答。……なぁ、七瀬」

「ん?」

「キスしてい?」

「いちいち聞かないでよ」

「だって許可制じゃん」

「もう……馬鹿」


あたしと九条は笑い合って、唇を重ねた。

何度も、何度も……。

九条とのキスは、どんな甘味よりも甘い。


──── 蕩けそうなキスに酔いしれる。


「ちょっと……待ってっ……もう、限界っ」

「無理。全然足んねーわ」


喰らい尽くす勢いで唇を奪ってくる九条。今まで我慢していた想いを発露するように。

余裕が無さそうな九条にドキドキが止まらない。


「もうっ、待って九条っ!!やめてってば!!」

「あ?却下」

「あーーもうっ!!しばらくキス禁止ーー!!」