俺様御曹司は逃がさない

「悪いけどもう……お前を手離すことも、逃がすこともできねえ。必ず俺がお前を守る……だから、俺の隣に居てくれ。この先も、ずっと」

「仕方ないから隣に居てあげる」

「ふっ。そうかよ。そりゃどーーも」


────── 今さらながら違和感に気付いた。

ゆっくりその違和感を見てみる。


「……な、なにこれ……」


あたしの右手の薬指にはめられている指輪。


「クリスマスプレゼントっつーか。日頃、馬車馬のように働くお前に何かあげてやってもいいかな~?とか思ったりして。で、ついでに俺のヤツも買った。ま、"ついでに"だけどな」

「なによそれ。素直にペアリングって言えば?気持ち悪い」

「うっせぇーー。ったく、こういうのしたことねぇからこっちだって気持ちワリーんだよ」


ちゃっかり九条の右手の薬指にも指輪がはめられてて、あたしが寝ている間にこっそり付けたんだろうなって思うと変すぎて笑えるし、なんか可愛い。


「本当に変な人」

「いや、それお前に言われたくねーし」

「ふんっ。ペアリング用意してたってことは元々あたしにコクるつもりだったんでしょ?そんなにあたしのこと好きだったんだー。ウケる~」


ちょっと煽るつもりだった、いつもみたいに。


「悪いかよ」

「へ?」