俺様御曹司は逃がさない

九条の横顔がとても悲しそうだった。

感じなくてもいい責任を感じて、自分を責め立ててるんだろうな。

誰も責めてくれない……それが九条にとって、とても苦しいのかもしれない。

責められた方がまだ、少し気が楽なのかもしれない。


「勝手に責任感じられるとか迷惑」

「は?」


あたし達は向き合って、目を逸らさず見つめ合った。


「この先、あたしに何かある度にそうやって自分を責め立てるの?九条のせいじゃないのに、そうやって自分が悪いって自分の中で言い聞かせて、ずっと苦しむの?そんなのおかしいよ、間違ってる」

「俺がお前を隣に居させなきゃあんなことになってねえだろ!!」

「だから、あたしはそれを覚悟してるって言ってるじゃん!!」

「俺のせいでお前に何かがあったらどうすんだよ!!取り返しのつかないことになったらどうすんだよ!!俺がお前を……お前を手離すことができなかったせいで!!」

「どうなるか分からない未来に怯えて、あんたがあたしと一緒に居て、そんなにも自分を責めるんだったら……あたしはもう、九条とは一緒に居られない」

「……は?」


九条の瞳がグラグラ揺れている。こんなにも動揺する九条は珍しい。

あたしの視界は涙で霞んできた。