俺様御曹司は逃がさない

「一生逃がしてやんないし、俺から逃げようなんて浅はかな考えなんざ二度とできねえように、たぁっぷり可愛がってやるから……この俺様が。覚悟しとけよ?七瀬」


────── 俺様御曹司は逃がさない。


そういうことですか……っ!?


・・・・あたしはげんなりしながら、隣の九条は満足そうに上機嫌で会場に着いた。

結局、背中のキスマーク消してくんなかったし、首のキスマークも若干残ってるし……もう……いいや。どうとでもなれ。

あたしと九条が会場に入ると、ガヤガヤしていた会場内が静まり返って、全視線が一気にこちらへ向けられる。


「え、なにこれ。こわっ」

「心配すんな、俺の隣に居ろ。大したことない胸を張って堂々してりゃいい。お前はこの俺が選んだ“唯一無二の馬鹿女”だろ」

「あんた、一言も二言も余計なのよ。ふざけんな」

「冗談だっての~」

「冗談はその“性格(クズ)”だけにしてくださる?」

「ヘイヘイ」


そして、あたしの腰に手を当てて歩き始めた九条。あたしも歩みを合わせる。

周りの女子の視線はもちろん九条へ。全員が頬を赤く染めている。

隣に居るはずのあたしなんて眼中に無さそう……というより、あたしは視界に入ってないんだと思う。