俺様御曹司は逃がさない

「こんなことがあって……怪我もしてんだ。行く必要っ……」

「ある!!あたしの怒涛の1週間を無駄にするわけにはいかない!!……それに、どうせなら特別賞与が欲しい!!」

「お前、こんな時まで守銭奴すぎるだろ。つーか、タフすぎてドン引くわ。マジかお前」

「いいから行くよ!!あたしと踊りたいんでしょ?あんた。仕方ないから相手してあげる」

「……ああーーマジでお前、ほんっと可愛くねーな。相手してやるのはこっちな?」


あたし達は体を伸ばすべく、一旦車から降りた。


「いってぇ……」

「いたたぁぁ……」 

「本当に大丈夫か。七瀬」


あたしを見つめる九条の瞳は、心配と不安で揺らいでいた。


「ふんっ。余裕すぎ」


ニヒッと笑うとデコピンされた。


「バケモンか、お前は」

「はいはい、何とでも言ってください。ていうか、あたしのドレス姿を見て、鼻血噴射しながらブッ倒れても、絶対に助けてやんないからね~」

「そりゃこっちのセリフだっての~。俺のタキシード姿見て、悶絶しながらキュンキュンしとけよ」


あたし達は向き合って、ガンを飛ばし合う。

九条を見上げながら鼻で笑い、あたしを見下ろしながら鼻で笑う九条。


「「絶っっ対にキュン死させてやる/から」」

「お前らソレ、主旨が変わってきてねーか?」