俺様御曹司は逃がさない

せめて、“ありがとう”くらい言いたい。

ありがとう……そんな言葉じゃ全然足りないくらい、あたしは貴方にたくさん助けられてきた。

あたしには何もない……貴方にあげられるような、そんな大層な物は何一つ持っていない。

だからあたしは……たくさんの“ありがとう”を言葉にして、伝えていくしかないの。

なのに、それなのに……それが伝えられないなんて、九条に会えないなんて……そんなの絶対に嫌!!

無駄にいい匂いするし、無駄に頭良いし、無駄にスタイル良いし、無駄にかっこいいし、クズだし、うざいし、鬱陶しいし、ストレスだし、変態だし、下ネタ大好きマンだし、気持ち悪いし、キス魔だし、距離感バグだし、境界線バグだし……挙げたらキリがないくらい色々あるけど、でも……それでもっ!!


・・・・逃げなきゃ、ここから!!

あたしは必死に手首と足首に縛られている縄をほどこうと、ひたすら動かして擦り付けた。

摩擦で皮膚が抉れていくのが分かる。めちゃくちゃ痛いしツラい。でも……それ以上に、九条や皆に会えなくなる方がツラいし、胸が痛い。

この際、手首や足首が千切れたっていい。

あたしはそう覚悟して、ギチギチと縄を動かし続けた。
 

「……っ、取れてよ……早くっ!!」