俺様御曹司は逃がさない



「……っ、頭痛い……って、なにこれ」


目が覚めると、あたしは何もない倉庫のような所で椅子に座らされ、手首も足首も椅子に拘束されていた。

あたしは瞬時に理解した。

────── “誘拐”……この二文字が浮かぶ。

ガン!!ガン!!と手も足も動かしてみたけど取れそうにない。

口が塞がれてないってことは、声を出されても問題がない場所に居るから。おそらく、周りに民家も無ければ、人通りもないような場所なんだと思う。

・・・・ちょっと名探偵っぽいよね。ははっ。

いや、ふざけてる暇は一切ない。

今、何時?…………どうしよう。

今日、舞踏会なんですけどーー!?

25万円が懸かってるんですけどーー!?

いや、もはやお金どころの騒ぎではない。“命”に関わる問題になっているこの現状をどうにかしなくちゃ。


────── 冷静になればなるほど、恐怖心に支配されていく。


情けなく震えだす体。

このまま誰にも会えず、死んでいくなんて嫌だ。

みんなの笑っている顔が次々と浮かんでくる。

最後に浮かんできたのは……九条の憎たらしい顔だった。


「……っ、九条」


嫌、嫌だ……“ありがとう”も言えず、九条と会えなくなるなんて……そんなの絶対に嫌。