俺様御曹司は逃がさない

「あっ、ごめん!!あたし先生に呼び出し食らってたんだった!!」

「あ?呼び出しぃ~?」

「そうそう!!なんかアレがアレらしくて、アレしろ!!ってうるさくて~」

「いや、さっっぱり分からん」

「帰りも送ってくれるって言ってた!!」

「誰だ、そいつ」


ヤバい。めっちゃ不機嫌になってるーー!!


「ねえ、九条……九条が絶対に喜ぶものあげるから……先に帰ってて?ね?」

「はあ?なに言ってっ……!?」


あたしはそっと人差し指を九条の唇に押し当てた。


「我慢できたら……ご褒美あげる。だから、先に帰ってて?ちゃんと連絡するから……ね?」


すると、コクコク頷いた九条。

そして、大人しく帰っていった。



────── ちょろいな。


いや、意外にちょろいなオイ。

大丈夫か?九条の御曹司がそんなんで。

ま、いっか。

・・・・練習をしていたら辺りは真っ暗になっていた。


「すみませーーん。もう閉めますよーー」

「あ、分かりました!!」


自分なりに頑張ったし、練習しきった。悔いはないかな、これで失敗したとしても……って、失敗を前提に考えるな。

なんて考えながら天馬の敷地を出てすぐだった。


「七瀬 舞」

「へ?」


振り向き様にドスッと鈍い衝撃と痛み。

ここで意識がプツリ……となくなった。