俺様御曹司は逃がさない

爆走しながら叫び散らかすあたしを見て、上杉先輩は鋭い眼光であたしを睨み付けてくる。


「はしたないですよ、七瀬さん」

「うっっさいわぁーー!!」


上杉先輩に飛び付いて噛み付こうとした時、ガシッと顔面を鷲掴みされて制止させられる。


「悪いな、上杉。こいつ多分、キャパオーバーで人外になってるっぽいわ。先行ってて~」

「はあ……では」


呆れた目をして、あたしを見下ろし去っていく上杉先輩。


「で、なんなんだよお前。腹減ってんのか?」

「違う!!」

「俺の目の前で他の男に噛み付こうなんざ、どういう神経してんだよお前。訳が分からん公開プレイとかやめてくんねー?しかも他の男と。お前の性癖と神経、両方疑うわ」

「すぐ下ネタに持っていこうとするのやめてくれない?不愉快極まりない。なんか日に日に酷さが増してるけど。なに、欲求不満なわけ?いい加減にして」

「…………ああ。禁欲してんだよねー」

「知らねーよ。じゃ、あたしは戻ります」


九条に背を向けて数歩進んだ時、腕を掴まれて後ろへ引っ張られた。

コツン……とあたしの背中に当たったのはもちろん引っ張った張本人、九条でしかない。

顔を上げると九条がジーッとあたしを見下ろしている。


「なに」

「ご褒美欲しいんだけど」

「ハイ?」 

「ちょーだい」

「いや、なんの」

「禁欲の」