俺様御曹司は逃がさない

いやぁ、本当にそんな行事あるんだ~。あんなのテレビとか漫画の世界だけの話かと思ってたわ~。


「すみません。あたしには関係無さそうな話なので、お先に失礼しますね」

「関係ありありだっつーの」

「ぐえっ……!?」


去ろうとしたあたしの首襟を掴んだ九条。首が絞まってカエルのような声が出るあたし。


「むしろ今、俺と上杉はお前の心配しかしてねーわ」

「ごもっとも。九条様の仰る通りでございます」

「は、はあ……そうですか」

「お前、ダンスしたことある?」

「まあ、学校の授業でなら」

「ちげーよ。社交ダンス」


────── シャルウィダンス?


この言葉が脳裏を過った。


「社交ダンスなんてしたことないに決まってるでしょ」

「でしょうね。後、そのように偉そうな言い方をするのは地位や教養の無さを露呈するだけなので、やめた方がよろしいかと。本来、天馬に通う者であれば、社交ダンスなど踊れて当たり前なのですから」

「ま、そう言うなって上杉。聞いた俺が馬鹿だったわ」


ねえ、九条。それ、フォローのつもり?何のフォローにもなってないんだけど。


「あの、舞踏会とあたし……なんの関係があるんですか」

「七瀬さん。天馬の舞踏会は……マスターとサーバントのペアで執り行います」