俺様御曹司は逃がさない

ヤバいヤバいヤバいヤバいーー!!

ああ、もぉぉーー!!

辺りを見渡して、人が居ないことを確認した。

もういい、腹を括った。どうとでもなれっ!!


「……おまっ!?」


あたしは九条の胸ぐらを掴んで、グイッと自身に引き寄せた。そして、ほんの少し……九条の唇に触れた。


「はい。これでいいでしょ」


あたしは一瞬で済む“キス”を選択した。

大衆の場でずっと手を繋ぐという“拷問”に耐えられる自信が1ミリも無かったから。


「…………マジで可愛くねえ」

「別に可愛くなくて結構です」

「まあ、お前らしくて興奮するっちゃするな」

「シバくよ?」


この選択が正しかったのかは分からない。ま、普通に考えたら間違っているんだと思う。

でも、あたしは既に数回ほど九条に唇を奪われている。もう1回も数回も変わらない……と割り切るしかないのよ。減るもんではないしね、うん。いや、減ってるんだけどね?物理的な意味ではなく、精神的な意味で。

・・・・よし。無かったことにしよ。それが一番いい。ちょっとした事故で唇が触れちゃったと思えばいい。あんなのキスのうちに入らない。触れるか、触れないかレベルだったしね。うんうん。


────── こうして文化祭も無事?に終わり、“平和”という名の“地獄”な日々を送っていた。