俺様御曹司は逃がさない

すると、もう一発叩かれた。


「君、悪いね。俺のが世話になったみたいで」

「いえ、それじゃ」

「え、あ、山田君!ありがとう!!」


頭をペコッと下げて、お化けみたいに消えてった。


「なぁにが山田君だ。男とこんな暗がりに来てんじゃねえよ、馬鹿かお前」

「山田君は胡桃ちゃん達の友達なの!」

「けっ。知るか、んなもん」

「よかったのー?ハーレム抜け出してー」

「あんなんずっと相手してられっかよ」

「ていうか、なんであたしがここに居るって分かったわけ?」

「チラッと見えたんだよ。お前のビビり散らかしてる無様な後ろ姿がな」

「はあ?別にビビってないし」

「……」


・・・・あれ?なんで急に無言?


「ちょっと……聞いてる?」


足を止めて隣を見た……けど、さっきまであたしの隣を歩いていたはずの九条が居ない。


────── 待って。あたし、取り残された……?


え、待って、マジで待って。

分かれ道なんてあったっけ!?

ひとり、今ひとりだよね!?あたし!!

嫌……怖い……本当に怖い……無理。


「……っ、九条!!」

「あ?なに?」

「ギィャァァァァァァーーーー!!!!」

「……っ、鼓膜破れるっつーの!!」