俺様御曹司は逃がさない

「ち、違っ……」

「ほら、やっぱ宗次郎はそういう人じゃん」

「なにが」

「あたし、ずっと引っ掛かってた。宗次郎にあんなことは絶対にできないって」

「なにそれ。この期に及んでまだ俺を信じようとしてるの?舞」

「だって、あたしに触れようとするたびに躊躇してた。迷ってた、戸惑ってた。そんな人があんなこと、できるわけがないでしょ。もう根が優しすぎて、悪役なんて向いてないよ?宗次郎」


────── 宗次郎がしたかったことは何となく分かる。兄貴に対する嫌がらせってとこだろ。ま、度が過ぎてるわな。


「舞はさ、俺にどうして欲しいの?俺、あの人に殺られる覚悟でここに来たんだけど」

「あたしはあの時、何もなかったって……宗次郎の口からちゃんと言って欲しい。あたしの望みはただそだけ」

「……ないよ。何もなかった」


七瀬を真っ直ぐ見て、そう言い切った宗次郎の目に嘘はない。


「そっか……そっか。だよね、そうだよね……」


ホッと胸を撫で下ろしている七瀬。

ぶっちゃけ俺もホッとしてるわ、だっせぇけど。


「舞の服を脱がしたのも、キスマークを付けたのも俺じゃないから安心してよ。ま、俺の言うことなんて信じられっ……」